タルパと歩むは恋の道
木口は浮島に恋をしていた⋯⋯
しかし、一向に自分の思いに気づかない浮島に焦る木口⋯⋯最近は露骨なまで積極的なアプローチをしている。
しかし⋯⋯
だが、サークルのメンバー達ですら、これに気づいており、陰ながら木口を応援していた。
とても、じれったい気持ちで⋯⋯
「浮島さん、木口さんの気持ち⋯⋯本当に気づいていないのかな?」
「な訳ねぇーよ!」
「そうだよ、あれだけ意思表示してるんだ」
旧工学部研究棟を改装したサークル棟の一室で⋯⋯また例の如く、オカルト研究会のメンバー達が議論を始める。
「やっぱり、はっきり言わないとダメなんじゃないかな?」
「私は女の子にあそこまでさせている浮島さんは⋯⋯ちょっと、罪作りだと思うな。やっぱり、ここは男の側が折れるべきよ」
「僕もその意見に賛成。気づいていない訳がないよ!このままじゃ木口さんが可哀想だよ!見てられない!」
「もう、この際だから⋯⋯みんなで浮島さんに問い詰めてみる?」
「いや、それはやめた方がいい!木口さんの気持ちを踏みにじる恐れがある」
一同、沈黙する⋯⋯
次の瞬間、ドアの開く音がする。
「やあ、お疲れ。みんな、今日も楽しんでいるかい?」
「お、お、お疲れ様です!浮島さん」
このオカルト研究会を主催し、代表を務める浮島の登場だ。
「何だい?みんな?随分と神妙な顔して?どうした?」
「浮島さん、実は木⋯⋯」
浮島を木口の件で問い詰めようとしたメンバーが⋯⋯他メンバーから無言で軽めの肘打ちを受けて制止される。
浮島は不可解な表情を見せるも、すぐに普段通りの笑顔に戻した。
「どうしたんだい?ははは⋯⋯ところで、みんな!今度、他大学のオカルト研究会も交えた合同プロジェクトを開催しようと思うんだが⋯⋯」
「もしかして、思念伝達とアストラル投射の技を組み合わせた⋯⋯共有ダイブの実証実験のことですか!」
浮島のこの提案に誰もが目を輝かせる。そこへ後から遅れて木口がやって来た。メンバー達が別の意味で息を呑む瞬間の到来だ。
つづく