恋のキューピット

投稿日 2025.03.21 更新日 2025.03.21

 サークル部屋に入った途端、目の前に立っていた浮島に驚き赤面してキョどる木口⋯⋯これに少し困ったような笑顔を見せる浮島⋯⋯

「木口さん、お疲れ!」

「お、お、おおお疲れ様です!浮島さん!」

「今日は珍しくメンバー全員そろっているようなので⋯⋯この後、みんなで一緒に飲みへ行かないか?」

 一同、無言のまま⋯⋯力むような姿勢でうなずく。

 皆、浮島と木口の関係⋯⋯

 木口の恋の行方が気が気でならなかった。オカルト研究会の飲み会は、浮島と木口に対する気づかいの場でもあったのだ。

 メンバーたちは可能な限り⋯⋯

 浮島と木口を隣同士の席にすべく裏側で奔走した。

 国内屈指の霊能者である父の下で修練を重ねて、陰陽師として英才教育を受けて来た浮島が⋯⋯

 こうした気配に気づかないはずはないと思うのであるが⋯⋯

 謎だった。

 やはり⋯⋯

 浮島はホモなのか?

 そうした疑惑も並行するように囁かれていた。

 とりあえず、その日のサークル活動が終わると、全員、大学の裏路地にあった飲み屋へ向かった。

 そこへ向かう道すがら、浮島と木口が肩を並べて歩く⋯⋯

 終始、頬を赤らめている木口⋯⋯

 まだ、飲み会は始まっておらず、これからだと言うのに⋯⋯酔っているようにも見えなくもなかった。

「木口さん、タルパの自動化⋯⋯その後はどうだい?」

「ええ、零のオート化は順調に進んでいるわ」

 零とは⋯⋯

 浮島の指導の下、木口が作り出したタルパである。可愛らしい美少年、男の娘の稚児の姿をした⋯⋯キューピット、天使のようなタルパだった。

 木口は自身の守護精霊として作り出していたのだ。

 作り出してから早一年が経過し、完オートに近い状態に達していた。

 実は⋯⋯

 浮島には木口のタルパが見えていたが⋯⋯見えてない振りをし続けていた。

つづく