洋上での愛読書はタルパエロマンガ

投稿日 2025.07.26 更新日 2025.07.26

狭い乗組員室の一角にある寝台の中から⋯

「はぁ、はぁ⋯運子さん⋯」

何やら気色の悪い男性のささやき声が聞こえていた。

船乗りにとって自分の寝台だけが⋯唯一、プライベートが保てる空間だ。

カーテンをしっかり閉じた状態で⋯読書灯で照らされた寝台内で、休憩時間中の岩凪がエロ漫画を読んで興奮していた。

もう、何度も読み返しているものだ。タイトルは「運子さんとセックスしながら作るタルパ」だった。

長い洋上生活⋯

こうした現実逃避も立派な娯楽と化す。

次の瞬間、カーテンが突然開く⋯

「おい、ゆかた。交代時間やで。はよブリッジに上がって来い!」

船長である浮き草氏に⋯エロ漫画を見ながら、自分の片手を股間の中に突っ込んいるところを目の当たりにされた。

「ゴン☆あいた!!」

岩凪は驚いて慌てて起き上がろうとしたため⋯

上段ベットに頭を打ち付けた。

「おいおい、大丈夫かいな⋯別に恥ずかしがらんでもええわ。あとでそのエロマンガ、俺にも貸せ」

岩凪は頭を撫でながら寝台から降りる。