タルパーたちの戦後|荊棘の道となった就職活動

タルパ戦争に参加していた者たちは⋯⋯
その後、別の意味でも悲惨だった。多くは学生で就活と言う名の現実を目の当たりにしていたのだ。
数年前に起きたリーマンショックによる就職難で打ちひしがれていた。そんな状況の中で、自分のオナニー声をネット上で晒されたら⋯⋯
人生は完全に終了する。
浮き草氏によってIPアドレスをぶっこ抜かれ、通っていた大学まで特定されていた者までいた。
ただ、浮き草氏も⋯⋯
いつまでもタルパ界隈に関わっている場合でなかった。浮き草氏も就活に苦戦していたことに変わりはなかった。
今日も数社回って来たところだ。
結果は芳しくなく、オカルト以外に何もやって来なかった自分を心底怨んでいた。実家の父もそれを息子の弱点と憂い、自分の跡目を継がせる条件として、大学卒業後の数年間は社会の風に吹かれて来るよう厳命していたのだ。
公園のベンチに座り込み、缶コーヒーを飲みながら、ひつじ雲の広がる秋空を見上げる浮き草氏⋯⋯
「僕は⋯⋯オカルト以外、何もできないダメな人間だったんだな」
思わず涙がこぼれ落ちそうになる。
今度は前方へ大きく項垂れ、両手で頭を抱えながら、地面の上を歩き回るアリたちを見つめ続ける。ぽたぽたと自分の涙が落ちる。
次の瞬間である⋯⋯
突然、目の前の地面に大きな人影が写る。
これに驚き上半身を起こし上げると、目の前にサラリーマン風の⋯⋯いや、そう言うには少し違和感の覚える体格をした男が立っていた。
「ちょっと、いいですか?」
「は、はい⋯⋯僕に何でしょうか?」
「君、もしかして、就活中の大学生?今、大変だねぇ~」
「はぁ⋯⋯」
男はにこやかな笑みを浮かべながら、浮き草氏に向けてそっと手をかざして来た。もしかして、どっかの新興宗教の勧誘だろうか?
警戒する浮き草氏⋯⋯
この直後、浮き草氏は強烈な金縛り状態に陥り、体を一切動かすことができなくなった。突然の出来事に驚く浮き草氏⋯⋯
「なっ!!あなたは一体!?」
「やはり⋯⋯君は霊能者のようだな。それもかなり強い!!」
つづく