Young Heso Wright ~翻訳の迷宮~ 予言と暗号

イワナマヤの機嫌が悪い⋯⋯
神殿の中から出て来たイワナマヤの眉間にはしわが寄っていた。
スライムのような雑魚モンスターごときに⋯⋯
小隊規模の部隊を一瞬でせん滅できるレベルの軍用の攻撃魔法を使用して駆除して来たようだ。
とりあえず、神殿の地上開口部から改めて二人で内部へ入り直す。奥へ進むと、すぐに礼拝堂のような広い空間に辿り着いた。
中央には台座のようなものが設置されていた。恐らく、古代タルパ時代の人々が、神へ祈りを捧げる時に利用していた供物台と思われる。
ヘソライト博士が台座に近づく⋯⋯
すると、台座は驚くべき変化を見せつけて来た。
まるで、ホログラム立体映像にように⋯⋯大根とリンゴ、メガネなどのアイテムを浮かび上がらせたのだ。
「こ、これは一体⋯⋯」
驚きを隠せないヘソライト博士。
少し離れた位置から、腕を組みながらその様子を見つめるイワナマヤ⋯⋯
「それはシビュラの掌と呼ばれる神聖な供物台よ。接近した者に対して神託、予言のようなものを示す⋯⋯そう語り継がれているわ」
「予言?僕的の?」
「今、台座の上に映し出されているものは⋯⋯将来、ヘソ博士の運命を大きく変える何らかの出来事と関係があるものよ。具体的なことはわからないけど」
「僕の運命を大きく変える的な出来事⋯⋯」
固唾を飲むヘソライト博士⋯⋯
礼拝堂のような空間は、どうやら、神殿の本殿内部へ入るためのゲートを兼ねる場所でもあったようだ。
ヘソライト博士とイワナマヤの目の前に⋯⋯
銀行の地下金庫室にみるような、無骨なロック機構の備わった扉が大きく立ちはだかっていた。
「他に先へ進む的な入口はないな⋯⋯どうやら、この扉を開ける的しかなさそうだな。魔法でどうにかできないか?」
イワナマヤが無言で扉の前に立つと、扉に手をかざし目を瞑る。手からオーラのようなものが発せられていた。扉を調べている様子だった。
「駄目ね。これは魔法で破壊できない。魔法を跳ね返す呪いがかかってる。この扉に対して攻撃魔法を使おうものなら⋯⋯その力がそのまま自分たちに跳ね返されて⋯⋯私たち、死ぬわ。魔法以外の方法で開錠するしかないわ」
しかし、鍵は複雑な構造をしており、パズルや暗号解読機の様相を呈していた。ヘソ博士は数学の天才でもあったので数万通りに及ぶのは達観できた。
つづく