Young Heso Wright ~翻訳の迷宮~ 数奇な運命

そして、時は進み200年後の現代⋯⋯
ヲティスタン共和国の反政府勢力の根城で、一人の天才薬剤師が魔術と化学の融合を試みる実験に勤しんでいた。
彼の名はサンドストーム・ドゥ=ブリュリューズ伯爵・ユタカ⋯⋯
200年前にクローリン卿が提唱、そして、現代でヘソライト博士やトゥコ・サマン博士により理論体系化されつつあった磁石ジエンと、よく似た特性をした化合物の生成に成功したと噂された人物である。
しかし⋯⋯
結論からしてまったく違うものであり、ブリュリューズ伯爵のものは似て非なるものだった。思ったり考えただけで⋯⋯そこまでは一緒であったが、物質として錬成される訳ではなく、幻覚として認知できるまでに留まるものだった。
端的に説明すると⋯⋯
正気が辛うじて保てる〇醒剤と言ったところだろう。
錬金術とはまったく関係ない。
この化合物はルナポンと呼ばれ、服用すると⋯⋯思ったり考えたことが、空想の中で現実のようにリアルに体験できた。多くの者がセックスを望み、美少女を必死に思い浮かべていたらしい。
中毒性が高く危険であったため、トトバースの多くの国で⋯⋯これから述べる化合物と共に非合法薬物として取り締まりの対象とされた。
だがしかし、まるで運命であったかのように⋯⋯
磁石ジエンとルナポンは融合する。
磁石ジエン酸ルナポンと呼ばれる狂気の化合物が後に誕生してしまう。服用するとスタンド使いになれるのだ。
幽波紋とかよくわからんけど⋯⋯
とりま、これでタルパの錬成ができるようになるのではないか?現実空間を背景に視覚化できない?
そんなちょっとした好奇心から⋯⋯
ヘソライト博士が合成してしまったものだ。
一方、ブリュリューズ伯爵はこれで強化兵士を育成、戦争の利用に企む。かくしてヲティスタン共和国の内戦は悪化の一途を辿る。
後にこれが発端となり⋯⋯
ヘソライト博士は国際社会から激しい批判を集めることとなる。
学会追放の憂き目にも遭い大学を追われる。頼みの綱であったウィキスタン共和国からも見放され何もかも失う。
その後、ピクシティマフィアのボス、ザナ・ド・ネールと出会い、ピクシティの地下スラム街で、磁石ジエン酸ルナポンの違法生成に手を染める。
美少女タルパとのセックスを触れ込み、売れに売れた。
つづく