Young Heso Wright ~翻訳の迷宮~ 払拭

ここは思ったり考えたイメージが具現化⋯⋯
再現される部屋だ。
「壁の方を向いてて的!!こっち側を見ちゃダメ的!!的!!」
ヘソライト博士はイワナマヤにそう言い聞かせ、壁の方に向かせると⋯⋯
咄嗟にあるものをイメージして、それを〇〇〇なスライムに〇〇して消失させることに成功した。
直後、理由は定かではないが出口となる扉が開いた。
「さぁ、出よう的⋯⋯」
地上の入口付近で〇〇〇なスライムに遭遇した時は驚いたが⋯⋯今はそれ以上にイワナマヤの攻撃魔法を恐ろしく感じていた。
「そう言えば、化身の間は⋯⋯因果律に支配された空間でもあったわ。思わぬものが具現化された場合、その原因を悟ることができれば、部屋の外に出ることができるらしかったわ」
「つまり的、心の迷いが具現化された場合、その迷いが晴れると消える⋯⋯そう言うこと的かい?」
「そうね。たぶん、そうだわ」
「そう的か⋯⋯じゃ、君の場合⋯⋯いや、なんでもない。前へ進もう」
「別にいいわ。いつも過去の記憶でモヤモヤさせていたから。男との記憶ともなれば⋯⋯アレでしょ」
「⋯⋯」
しばし、無言になるヘソライト博士⋯⋯
化身の間から出ることができた理由、原因は伝えたくなかったので、これ以上、この件でイワナマヤと話をするのはやめたかった。
しかし⋯⋯
「ねぇ、疑問なんだけど。さっき、あなたは何をイメージしたの?」
顔を引きつらせるヘソライト博士⋯⋯
内心、普通、そこまで聞くか?と少し憤った。だが、レディに対して怒りのようなものを顕にしたくなかった。
顔を引きつらせた作り笑いで必死に誤魔化そうとする。
「あれは⋯⋯女には知られたくない的な男の都合ってヤツさ。女にもそう言うあると思う的」
以降、押し黙るイワナマヤ⋯⋯
ただ、ヘソライト博士はある思案にも暮れ始めていた。
この遺跡全体に意思のようなものが働いていて、自分やイワナマヤの弱点を見抜いているのではないか?そんな不安に襲われて始めていた。ヘソライト博士は以前、トゥルパブロ・グアンティナ博士から受けた忠言を思い起こす。
つづく