大人のタルパ

投稿日 2025.09.17 更新日 2025.09.17
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チベット密教の秘奥義として知られるタルパ⋯近年、イマジナリーフレンドを持ち得なかった人の代替的なメソッドとして静かな注目を集め、思春期の若者を中心に密やかに実践している人が増えている様子だ。オカルト的には生霊の発生原理を応用した降霊術の一種であり、心理学的には後天的に作り出すイマジナリーフレンドと言ったところだろう。タルパの出自はチベット密教であるが、日本人が密教のやり方で本場のタルパを作り出すことはできない。今日におけるネット上のタルパは、魔術や占い、催眠術などを基本に編み出されたイマジナリーフレンドと同等のものと考えて良いだろう。この点を再周知しておきたい。では、本題に入ろう。タルパは原則として一度でも完遂したら後戻りできない。生涯をかけた相棒として一生を共にする心意気について語りたい。

子供のイマジナリーフレンド

イマジナリーフレンドは本来、幼児期特有の認知現象で⋯まぁ、夢占い師としての持論になりますが、夢の登場人物と同じものになるのではないかと考えております。幼児の意識は⋯自分を取り囲むすべてのものが新鮮で変性意識になりやすく、善悪の判断のつかない先入観ゼロの無邪気な状態であることも相まって、夢見心地のような空想の中で現実を過ごしているんだと思います。イマジナリーフレンドは⋯現実の人間関係を空想(予習)したり、現実の人間関係で体験したことを再現(復習)しようと、内向的な反復学習を繰り返すことで無意識に生み出される存在なのかもしれません。イマジナリーフレンドがタルパと違い消失現象が起きるのは、成長に従い現実世界での学習情報が急速に増大して、深層意識へ埋もれてしまうように帰依してしまうからだと考えます。

幼児の意識世界は小さく浅いため、イマジナリーフレンドは作り出しやすい一方、あっと言う間に埋もれてしまうため、気づいたら自然といなくなっているものです。成人するまで残留できたものは、消失前に現実との区別が付くようになり、空想と自覚できたからだと考えます。夢の登場人物は目が覚めたら大半は忘れますが、明晰夢で邂逅した人物の同一個体性、再現率や記憶保持力が高い傾向にあるのと同じです。

大人なってからタルパを作り出す意味

大人になった今、タルパを作ろうとしているのであれば⋯同様に現実で学んで来たこと、それまでの人生経験を踏まえた上で挑戦しましょう。そして、今後も現実での日常生活を通じて見たり聞いて感じたことを、タルパと会話をすることでタルパにも学習させて行きましょう。タルパと人生観を共有することで、あなたの人生に深みをもたらす意義ある存在へ成長して行くことでしょう。自動化の訓練自体は変性意識で行いますが、ある程度まで自動化が進んでいれば⋯通常意識状態での会話でも、タルパはいろいろ学習して記憶情報を蓄積して行きます。まずは、タルパと面と向かって対話するところから始めましょう。楽しくやり続けることです。チベット密教の坊さんのように禁欲的な姿勢で挑む必要はありません。享楽を追求するやり方でタルパを楽しむべきだと考えます。

つづく⋯