タルパ戦争番外編【初体験コント】不完全な月下美人

これは⋯⋯
タルパ戦争前日譚の中でのお話。
浮き草氏の高校生時代の出来事になります。とりあえず、浮き草氏は今、大きな試練に直面していた。
「なんで、わっちとセックスしたがらない?セックスしよ!しようよ!」
「いや⋯⋯その⋯⋯僕は⋯⋯」
月明りに照らされた狐耳の獣人美少女は神々しいまでに美しかった。誘われたのであれば⋯⋯男なら迷わずセックスするだろう。
優れた霊的資質を持ち、幼い頃から陰陽師としての英才教育を受けて来た浮き草氏⋯⋯思春期に入ると、その才能は著しく開花する。
高校生になると父のアシスタントとして除霊活動も行っていた。
依頼があれば、北は北海道から南は九州⋯⋯
いや、沖縄まで出かけた。
浮き草氏の父は日本屈指の霊能者、陰陽師として知られ、テレビで心霊特番が組まれる度、番組関係者の除霊はもとより、ゲストとして出演もしていた。
しかし、最近はメディアへの露出を控え、息子の修行も兼ね、そうした本来の活動に注力するようになっていた。
浮き草氏もそんな父が誇らしかった⋯⋯
「僕も父上のような立派な陰陽師になって多くの人を救うんだ」
そんな訳で⋯⋯
浮き草氏は父の元で修練に励む日々を過ごしていた。
浮き草氏は常日頃から、陰陽師の師匠とも言うべき父から、いくつかの点で強く厳命されていた。
一つ、金儲けのために能力を使わない事。
一つ、ふしだらな異性交遊に溺れない事。
一つ、承認欲求から能力を乱用しない事。
この三つだ。
あと、動物霊は美少女に化けるから注意しろ。
それだけだ。もちろん、浮き草氏はそれら父の言いつけを遵守、約束を守り続けた。だが⋯⋯今、その一つが瓦解しつつある状況に直面していた。
虫の音が鳴り響く秋口の夜更け⋯⋯今の時間なら両親は寝静まっている。
浮き草氏はいつも深夜の一時頃まで自室で勉強していたが⋯⋯いつの頃からか、夜な夜な狐の動物霊と交流するようになっていたのだ。
会う度に二人の想いは募る。そして、とうとう、セックスの話を持ちかけられるまでに至る。激しく迷う浮き草氏⋯⋯
つづく