オカルト青春群像ストーリー
この物語は⋯⋯
今からおよそ十五年前の話になる。
真実の愛を求め、オカルトの世界を駆け抜けた一人の青年と、彼を慕っていた一人の女性の切ない物語となる。
青年の名は浮島譲司。
東京都文京区にある名門私学、凸都大学文学部の三回生だ。
実家は京都の大社であり、将来は宮司を務める父の跡を継ぐべく、大学では宗教学を専攻していた。
幼い頃から優れた霊能力を見出され、すでに陰陽師としての英才教育は受けていた。大学ではオカルト研究会を主催し、その才能を遺憾なく発揮していた。
ネット上では「浮き草」のハンドルネームで活躍していた。そして、そんな彼に憧れて、オカルト研究会に入って来た女性がいた。
女性の名は木口洋子⋯⋯
表向き、公務員志望の法学部二回生であったが、どこか影を射している感じのする女性だった。
幼い頃から不思議な体験を繰り返しており、弱いながらも霊感に芽生えていた。オカルト研究会で浮島から各種の除霊法を学ぶ。
そして、同じくネット上では「ホロ」のハンドルネームで、浮島の活動をアシストしていた。
浮島が主催するオカルト研究会は⋯⋯
総勢20名近くとそれなりの大所帯であった。メンバーたちは浮島の指導の下、それぞれの課題に挑戦していた。
その内容は占いから霊視、超能力やUFOコンタクトまで様々だった。
しかし、浮島と木口の二人は⋯⋯
オカルト界の中にあって非常に珍しいものを共通の課題にしていた。
それはチベット密教の秘奥義として知られるタルパだ。ないもない無の空間から一つの独立した意思、存在を生み出す技だ。
降霊術の類とは少し違う。
そうして⋯⋯
木口は浮島への想いを日々募らせていった。
だがしかし⋯⋯
女性に一切関心を示さない浮島⋯⋯
自分の想い、気持ちを、どう伝えていいのか悩む木口⋯⋯
浮島は⋯⋯
ホモなのか?
つづく