運命に怯える孤独な夜

本能的に交尾(セックス)を求めてはいたが⋯
その具体的なやり方は漠然としか思い描いてなかった。
直前でこんなに悩むくらいなら⋯
あの占い師のおっさんに、やり方くらい素直に聞いておけばよかったと⋯少し後悔していた。
とりあえず、人間同士のセックスを、間近でじっくり観察できる機会に恵まれた。幸いにもすぐ終わらず数時間も続いた。
恐らく⋯
最初で最後の交尾(セックス)になるのではないかと覚悟していた。そのためにも⋯最後の最後まで気をしっかり持たねばならない。
もう、間もなく夜明けだ⋯
急いで屋上の貯水タンクの中に隠れ、その中で夜まで待機することにした。交尾に選んだ相手は⋯どうも、学生のようだった。
今まで当たって来た中で⋯
とりあえずではあるが、一番イケメンに思う童貞だった。彼の精液で卵を作る決意を固める。
嬉しいやら悲しいやら⋯複雑な面持ちで眠りに就こうとした。
交尾(セックス)をして卵を妊娠したら⋯そうだ!この貯水タンクの中に産み付けよう。
直感で何となくわかっていた。
卵を産んだら、自分はすぐにこの世から消えるのだろうと⋯
自分は何のためにこの世に発生したのか?ただ、交尾(セックス)をして卵を産むためだけなのか?
これまでに、いろいろな人間を見てきたが⋯自分も人間たちのように長生きをして、いろいろなことを経験してみたい思いに焦がれた。
次第に⋯
自分が消えてしまうことに、強い不安と恐怖を募らせていた。
「なんだか⋯怖いよぉ」
貯水タンクの中で怯え続けた。眠気もすっかりと失せていた。その時である⋯頭上から人の足音のような⋯妙な物音が聞こえてきた。
誰かタンクの上に登って来たようだ。
訳もなく息を殺しながら⋯タンクの天井を見つめる。
次の瞬間、ノックするような音が2~3回鳴った。まるで、中にいる自分を意識してもののように思えた。
恐る恐る⋯タンクの外側に少しだけはみ出て様子を見てみる。
つづく