屋根裏のセックスで葛藤する男

出会ってから⋯
わずか小一時間足らずである。
蝶の精霊と思しき発生型タルパと交尾(セックス)を始めた。できるだけ痛くしないよう⋯優しくゆっくり静かに挿入した。
人間の女性の愛液と違って⋯かなり強い粘度をした体液だった。
そう言えば⋯
生誕型タルパを錬成するには、妊娠させたい女性タルパの腹部に、発生型タルパの原形を仕込まねばならないことを思い出した。
しかし、元からそうした定めを背負わされた思念体だから⋯セックスの前に気のボールを練り込む必要はないのかも⋯
今はそう理解した。
ただ、交尾(セックス)をしてくれと頼まれただけだ。それだけで卵が妊娠できるのだろう。
彼女から何か特別な注文を受けた訳じゃない。
そう言えば⋯
恥ずかしいとか⋯優しくしてねとか⋯痛くしないでねとか⋯
彼女は本当に何も言わない。人間の場合だと挿入直前くらいまでに何か一言くらい伝えて来るものだ。
交尾をして卵を産まなければならない本能から⋯我慢しているのか?
なんだか⋯
いろいろ悲しい気持ちになったきた。
それに、終始無言のセックスなんて⋯なんか嫌でしょう。
とりま、いろいろ優しい言葉をかけてみるが、彼女はうなずくだけで何も言わない。まぁ、もういいか⋯
ただ、気になることがあった。
これ一回限りなのか?あと何回かしなければならないのか?
いずれにしても、卵の妊娠、出産は早いものと思われる。とにかく、今は今の交尾(セックス)に精魂を傾けよう。
やはり、表情からかなり痛がっている様子ではあったが⋯
気がつくと、彼女はカニバサミの姿勢で自分にがっしりとしがみついていた。覚悟はしっかりと決めているようだ。
下手に優しくしても⋯逆に彼女の心を傷付けるだけかもしれない。
これが最初で最後のセックスになるのかもしれないのだ。絶対にがっかりさせる訳にはいかない。彼女の覚悟の思いに十二分に応えてやらねばならない。ツヤツヤに輝く黒い卵を⋯絶対に産ませてみせる。
つづく